東京シンフォニアはなぜユニークなのでしょうか? 第3回
指揮者に転向するまでの間、私はモントリオール交響楽団の首席チューバ奏者を務めていました。団員100人、コンサートホールは3,000席のプラス・デザールが本拠地でした。
終演後に大きな楽器ケースを抱えて歩くと、人目を引き、観客は微笑みかけたり、楽しいコンサートだったと気軽に声をかけてくれました。コンサートホールの中の客席とステージの垣根を越えて、人と人との触れ合いを感じる瞬間でした。
その時に、もし自分のオーケストラを持つことがあったら、ひとりひとりの観客との人間的な触れ合いのある、温かいものにしたいと強く思いました。
そのおかげで、現在の東京シンフォニアの温かい「ヒューマンタッチ」が生まれたのです。